法制審は、個人保証原則認めず。 中小企業融資で民法改正検討

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法制審は、個人保証原則認めず。 中小企業融資で民法改正検討

銀行や貸金業者が中小企業などに融資する際に求めてきた個人保証について、法制審議会(法相の諮問機関)が原則として認めないとする民法改正案を本格的に検討することが分かった。個人保証は事業者の資金調達を容易にする半面、善意で保証人を引き受けた人が高額の請求を受け、自己破産や自殺に追いやられる悲劇も生んできた。検討通りの民法改正が実現すれば、長年の慣行が根本から見直されることになる。

法制審は09年、明治時代にできた民法の契約・債権分野を今の時代に合ったものに改めるよう、当時の千葉景子法相から諮問され、専門部会を設けた。個人保証を原則無効とする改正案は近く部会がまとめる中間試案に盛り込まれる見通しで、事務局の法務省民事局は試案を最終案までの「7〜8合目」と位置づけている。

部会では個人保証の中でも、経営者本人が会社の債務を保証する「経営者保証」は例外として認める案が検討されている。ただし、会社の返済が滞り経営者が貸手から裁判を起こされた場合、裁判所が経営者の支払い能力などを考慮して保証債務を減免できる救済制度の新設などを考える。

一方、住宅ローンやアパートの賃貸借契約、奨学金の借り入れなどで求められている個人保証は今後も認め、契約時に借り手の債務や財産の有無などを保証人に説明するよう、貸手に義務付けることを検討。説明義務を果たさなかった場合は保証契約を取り消すことができるとする。

また、保証契約の成立後も(1)保証人の問い合わせに応じて借り手の債務残高を伝える(2)借り手の支払いが遅れた際はできるだけ速やかに保証人に知らせる−−などの情報開示を義務付け、怠っていた間の遅延損害金は受け取れないような仕組みも検討される見込み。

中間試案の公表後は、法改正の原案となる改正要綱案の作成を目指す。要綱案の取りまとめには1年以上かかるとみられ、民法改正案の国会提出は再来年以降となりそうだ。
【毎日新聞 2013年02月18日】

 ◇個人保証
 中小企業などが融資を受ける時に「会社が返済できなくなったら代わりに自分が返す」と、個人が貸手に約束すること。経営者自身や家族、親類、友人が保証人になることが多い。ほとんどのケースは、保証人が債務者と同じ立場で無条件で請求に応じなければならない「連帯保証」となっている。

中小企業では、会社の破産と社長の破産がセットになっているが普通です。でも、これでは、社長個人がブラックリストに載ってしまうため、再チャレンジができません。本当にこれでいいのでしょうか?

 株主としての出資者責任を果たしているのに、結果的に、保証責任として、個人の全財産まで失うことになってしまいます。

貸し手の視点から見ると真っ当かもしれませんが、借り手の視点からすると苛烈すぎます。何かバランスの取れた方策がないものでしょうか。