敷引特約訴訟:「有効」 最高裁で2例目

  • HOME
  • >
  • 敷引特約訴訟:「有効」 最高裁で2例目
 マンションの賃貸借契約で、借り主が退去する際、貸主が敷金から一定金額を取得すると定めた「敷引特約」の有効性が争われた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は12日「原則として特約は有効」と判断し、差し引かれた一部敷金の返還を求めた借り主側敗訴の判決を言い渡した。

 3月に第1小法廷が有効と初判断しており、2例目。元裁判官で学者出身の岡部喜代子裁判官が「特約は無効」と初めて反対意見を述べた。
 4人の裁判官による多数意見は第1小法廷の判断同様「借り主が特約の金銭的負担を明確に認識したうえで契約を結び、敷引金が賃料などに比べても高過ぎなければ無効とは言えない」とし、賃料の約3.5倍に相当する敷引金を有効と認定した。これに対し岡部裁判官は「契約書に敷引金の性質が明示されておらず、借り主の金銭的負担も決して軽いとは言えない」とした。
 訴訟では、京都市の借り主が月額17万5000円で借りていたマンションを退去する際、差し引かれた60万円の返還を求めた。1、2審は「契約時に明確な説明もされておらず、金額も高額過ぎる」などとして無効と判断していた。2011年7月12日毎日新聞配信