破産

破産で借金問題解決(破産とは)

破産とは、借金を返済できないことを裁判所に申し立て、申し立てが認められれば借金が帳消になるという救済制度です。

債務者に大きな財産(不動産・株など)がある場合は、破産管財人がそれを債権者に公平に分配します。
この場合でも、借金返済はは免除になります。

破産後に得た収入や財産については、弁済の義務はなく、その使い道は自由です。
以上のように人生を新しく出発できるようにと考えられた制度なのです。

破産の意義

破産と聞くと世間ではあまりいいものではないと思われていますが、それほどの不利益があるわけではありません。
先ほども述べたように破産は借金超過で苦しんでいる方を救済し、再生を図るために作られた制度だからです。

破産のメリット

1借金の支払義務の免除

破産申立・免責決定が出ると、債務返済の義務がなくなります。

2破産後の収入は自由にしてよい

破産後に得た収入や財産については、弁済の義務はなく、その使い道は自由です。

3貸金業者からの取立が止まる

破産の申立書が裁判所で受理されると、業者は督促行為ができなくなります。
※弁護士や司法書士などの専門家に依頼した場合は業者の取立行為が規制されます。

4戸籍、住民票へ記載されることはない

戸籍謄本や住民票に載ったり、選挙権がなくなったりということもありません。

5会社を解雇されることはない

破産手続を理由に解雇することは許されておりませんので、会社を退職しなければならないということはありません。

6日常生活に必要な家財道具、必需品を手放す必要はない

一般的な生活必需品などは、そのまま手元にとどめることができます。
不動産・株・車・保険金など、特に大きな財産を持っているような特殊なケースでは、破産管財人が選任され、換金して返済にあてます。

破産の手続き

破産手続きには大きく分けると異時廃止と同時廃止の2つがあります。通常は「同時廃止」の扱いになります。

同時廃止

配当すべき財産がないと判断された場合、または債務者の財産を換価しても手続費用が支払えないことが明らかな場合は、破産宣告と同時に破産手続きを廃止して免責手続きへと移行します。
これを同時廃止といい、この場合には財産の換価および配当手続きが行なわれないため、破産管財人も選任されません。

異時廃止

破産決定と同時に破産管財人を選任し、債務者に処分可能な財産があれば、それを債権者に公平に分配し破産手続を廃止する異時廃止の手続が取られます。

破産手続きの流れ

※破産申立てから免責確定までは6ヶ月~1年の期間を要します。

1破産申立て

申立人の住所地を管轄する地方裁判所に破産申立てをします。
規定の予納金と予納郵券を裁判所に収めます。

2破産審尋

申立後1~2ヵ月後に破産審尋という裁判官との面接を行います。
時間にして5~15分位で終わります。

3破産宣告・同時廃止決定

同時廃止(破産者に配当すべき財産がないと判断された場合)の決定。

例外的に
1、異時廃止(破産者に一定の財産がある場合)
2、破産管財人の選任
3、債権者集会
4、財産の処分・換金
5、配当(債権額に応じ債権者に平等に分配)

4免責審尋

破産決定から1~2ヵ月後に、免責審尋という裁判官との面接が行われます。
時間にして5~15分位で終わります。
裁判所によっては、行われないことが多いです。

この審尋で、裁判所が免責を認定し、債権者からの異議もなければ約1ヵ月後に免責決定がなされます。

5免責決定

免責決定が出されると官報で公告されます。

6免責確定

官報公告の2週間後に免責が確定します。
債務者は債権者に対する全債務の責任を免れ、同時に復権します。

よくある質問

Q 家族に内緒で破産できますか?

家族から借金をしていない限り、裁判所は、家族に対して、本人が破産することを通知しません。
このため、家族に内緒で自己破産することも可能です。

しかし、必ず家族に内緒でできるわけではありません。
例えば、サラ金が本人を訴え、訴状が自宅に届くことによって家族に気づかれてしまう場合があります。

また、本人申立で破産すると本人宛の通知が裁判所から自宅に届きますから、家族にわかってしまうことがあります。
このため、家族に内緒で自己破産するためには司法書士に依頼した方がいいといえます。

Q 破産すると携帯電話も解約しなければいけませんか?

基本的に、その必要はありません。
裁判所から特に言われない限り、携帯電話を解約する必要はありません。

Q 破産すると年金をもらえなくなりますか?

そんなことはありません。
破産しても、年金をもらうことができます。

Q 破産するとその後は財産を自由に使えなくなりますか?

そんなことはありません。
破産した後に得た財産は、自由に使うことができます。

Q 破産すると給料を差し押さえられますか?

破産しても、業者から給料を差し押さえられることはほとんどありません。
そもそも、破産をした後に給料を差し押さえるために裁判をおこす業者自体が極めて少数です。
仮に裁判をおこされても、その裁判より破産手続きを早く進めて免責許可決定をもらえば、差押え自体ができなくなります。

Q 住宅を持っている人が破産申立てをすると住宅はどうなりますか?

住宅を持っている人が破産の申立てをすると、通常、破産宣告と同時に破産管財人が選ばれます。
破産管財人は本人の自宅を売却してお金に換えた上で貸主に公平に分配します。
このため、自宅を持っている人は自宅を手放さなくてはならなくなります。

このように通常は破産管財人を通じて自宅は売却されます。

しかし、そうでない場合もあります。
例えば、東京地方裁判所では、自宅に担保をつけている借金の額が自宅の時価の1.5倍以上ある場合には、破産管財人はつきません。
そして、同時廃止手続きがとられ、破産宣告と同時に破産手続きは終了します。
その後、免責手続きに移り、本人に特に問題がなければ、免責されます。

一方で、自宅にはたいてい抵当権がついているので、抵当権をつけている貸主が自宅を競売することになります。
そして、競売手続きが進んで、自宅を競落した人が現れれば、明渡すことになります。
この競売手続きは通常6ヶ月から1年位かかります。
この間、本人は自宅に住み続けることができます。

Q 破産の申立てをすると本人の財産はどうなるのですか?

裁判所に破産の申立てをすると、本人に不動産や株式などのめぼしい財産がない場合には破産宣告と同時に破産手続廃止の決定がされます。
これを同時廃止といいます。
この場合、財産はそのままで、本人が引き続き使えます。
したがって、本人にめぼしい財産がない場合には破産しても困ることはほとんどありません。

本人に財産がある場合には、破産宣告と同時に破産管財人が選ばれます。
破産管財人は本人の財産を売却してお金に換えた上で貸主に公平に分配します。

ただし、生活に必要なものについては売却されません。
例えば、本人の衣服、寝具、家具、台所用具、畳、建具、2カ月分の食料などは売却されません。

また、給料の4分の3、年金、恩給、失業給付、生活保護給付、労災補償金などは本人の手もとに残ります。
このように破産しても普通の生活はできるようになっているのです。

自宅を持っている人は最終的には自宅を手放さなくてはならなくなります。
これには破産手続きの中で自宅が売却されて売却代金が貸主に配当される場合と自宅に抵当権を設定している貸主が競売する場合とがあります。
自宅を手放すことを望まない場合は個人再生を検討することになります。

Q 破産のデメリットには何がありますか?

いくつかデメリットがありますが、代表的なものは以下のとおりです。

  • 不動産、株、車、保険金など特に大きな財産を持っているようなケースでは、破産管財人が選任され、換金して返済にあてられます。
  • 連帯保証人や保証人に請求が行きます。
  • 破産者の「氏名・住所・破産手続きをした日時・裁判所など」が官報に記載されます。
  • 破産開始決定から免責許可の出る間は、一定の資格や職業に就くことが制限されます。
    免責決定が出た時点で制限は解除されます。
    【制限例】
    弁護士、司法書士、行政書士、税理士、公認会計士、社会保険労務士などの各種士業
    宅地建物取引主任者
    保険勧誘員(損保代理店、生命保険外交員)
    警備業者(警備員)
    質屋
    古物商
    会社役員
    後見人、補佐人、補助人などの法定代理人など

しかし、これらのデメリットがあっても日常の生活にはほとんど影響はありません。
ですから、一般の人は破産してもほとんど困りません。

破産すると人生終わりだと思っている人もいます。
しかし、これはとんでもない間違いです。
破産すると借金がなくなります。
そして、一から生活をやり直すことができるようになるのです。

また、破産宣告を受けた後であれば、収入は原則として全て本人が自由に使えます。
ですから、破産したからといって一生みじめな生活を送らなければならないわけではないのです。

そして、破産したことは戸籍や住民票にも載りませんので、本人や家族の就職・結婚などに差し障りはありません。

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